上野駅でなにやら自動販売機で立ち食いそばを提供するお店を実証実験で設置しているという情報を耳にした。こりゃ立ち食いそば通の私が行かない訳にはいかん!!ということで早速行ってみることにした。
今回はそんなそば通である筆者の体験レポートである。ちなみに立ち食いそばに関しては下記記事もおすすめ。
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目次
はじめに:そばの自販機について
今回お目当てのそば屋はJR東日本クロスステーションフーズカンパニーが2023年6月20日より自動調理販売機を用いた実証実験用の店舗である。自動販売調理器は「Yo-Kai express Inc.」というシリコンバレー発の会社の製品を用いて提供される。
自動販売機そばといえば日本のお家芸である自販機そばを思い浮かべる人が多いと思う。そんな日本の専売特許とも言うべきそばの自販機を海外の、しかもシリコンバレー発とか言う調子にのった企業にやられるとあっちゃー日本もここまで落ちぶれたか、と思ってしまう気もしなくもないものの、なにはともあれ、「見せてもらおうか、シリコンバレーの自動調理販売機とやらを」という感じでいざ、セルフ駅そば。
JR上野駅セルフ駅そばへ行く
お目当てのそば屋はJR上野駅の11、12番線のホームにある。
11番線、12番線のホームへ上がる。
ホームへ上がり10mくらい歩くとお目当てのセルフ駅そばの文字が見えてくる。真っ赤な破廉恥なお店がお目見えする。
正面から見るとこんな感じ。「セルフ」と言う文字が後付された感じ。機械的というかかっちりした感じというか急造した雑な感じが好き。
ロボットが作ってるといってるけど絵的にタコが作ってるよね。このタコがロボなのか??いやどう見てもタコである。バカにしてやがる。
メニュー。たぬききつね蕎麦がリーズナブルだし良さげだ。デカデカした画像、これが看板メニューに違いない。この時、私はこれにしようと心に決めた。(この間0.01秒)
反対側から見たセルフ駅そば。
「Yo-Kai express」のロゴステッカーが貼ってある。カッコいいじゃないの?
JR上野駅セルフ駅そば店内の様子
外観を舐め回すように見た後は店内に入る。ちなみに中に中々入らず、店の周りをウロウロしていた私は第三者から見たらだいぶ変な奴に写っただろう。だが、安心してください。セルフ駅そばには店員はいません。あやしむ人は皆無である。無人で良かったと心をなでおろしたことは記憶に新しい。
話は戻るが店内はこんな感じで立ち食いスペースが並んでいる。ざっと10人くらいは入れるスペースがあるだろうか?セルフ駅そばの心臓部である自動調理販売機が鎮座している。
反対から見るとこんな感じ。ライトが無駄にオシャレだな、おい。机の上にはメニューやウェットティッシュ、台拭きがあるのみだ。七味唐辛子は置いてないのは少々残念である。
これは店の奥。ゴミ箱と食べ残しを流す所、あと奥にもテーブルがあった。2人くらいは使えそう。
器は使い回すのかゴミには捨てないスタイルのようだ。SDGsとでも言いたいのか?気取ってやがる。
自動調理販売機を操作する
さて、いよいよ自動販売調理器にアプローチを試みる。横幅があるせいか、ずんぐりむっくりな感じの筒体である。
機械には「セルフ駅そば」その下にしっかりと「Yo-Kai express」のロゴを同じくらい大きく目立つように貼り付けてある所を見ると、だいぶ自己主張の強い会社のようだ。
ロゴの下には取り出し口、その下はお箸とレンゲが入っているケースの取り出し口が設置されている左下側には操作パネルと、その上に表示モニターがある。
注文はタッチパネルの「メニューに進む」ボタンを押すことでスタートする。
このようにメニュー画面で画像付きでメニューが選択出来る。私お目当てのきつねたぬきそばは、と…
完売、、だと!?!?
仕方が無いので「紅しょうが天そば」にすることにした。少々お高いがしょうがない。購入前にカロリーやアレルギー情報が参照できるみたいだ。
さすが訴訟大国アメリカ発とあって、この辺は抜かり無いようだ、と関心した。
こんな感じの情報が表示される。
ちなみに、操作に夢中になっていたわけだが、後ろを振り向くと他の客の男が並んでおり、その男は不満げな表情で私を見つめていた。ちがうんだ、私が悪いのではない、こんな情報を載せているセルフ駅そば、いや自動販売調理器が悪いのだと心の中で言い訳をした。
こんな情報表示しても読む時間無きゃ意味ないよね。うん。偉い人にはそれがわからんのだよ。
購入に進む、を押すと決済方法の選択に迫られる。
後ろのプレッシャーを感じつつ、早く決済終了してくれと心の中で願いながらどんどんと手続きを進めていく。
決済が終わるとモニターにはふざけた猫が調理している画像とともに、待ち時間を示すプロセスバーが表示される。ここで90秒待たされる。
これが結構長い、後ろのプレッシャーを感じながらの90秒はとにかく長い。こうして待っている内に後ろに並んでた男はしびれを切らして返っていった。これは私が悪いのではなく、自動調理販売機が悪いのだ。せめて食券製にして入店前に帰るシステムになっていればそういうことにはならなかったはず。
要改善を願うばかりである。
待ってる間にモニターには色々と情報を表示してくれる。おはしとレンゲの位置を教えてくれた。
こんな感じで箸とスプーンが入っている。カップラーメンの自販機もこんな感じだったよね。
できたては器が熱いようなので、はしを持つスタイルのようだ。気をつけよう。
なにやら扉の向こうに気配を感じる。
ちーん、、とは言わないが奴が出来上がったようだ。ライティングが無駄にかっこよい。やるじゃないか、シリコンバレー。
寄ってみるとこんな感じ。
いざ、自販機そばを実食する
これが出来上がった蕎麦だ。蓋にはカップ麺のようにシートが貼ってあり、真ん中には上記を逃がす穴があいている。
一気にシートを剥がす。紅しょうが天そばの登場である。蕎麦の上にクタクタの紅しょうが天、ネギが乗っているシンプルスタイルだ。
さて、肝心のお味の方は、、、!?これはまごうことなき昔懐かしい自販機蕎麦の味。私の頭の中に瞬時にあの日食べた自販機蕎麦の記憶が蘇る。
決して旨くは無いのだが、不味くもない、コシの無い麺。安心する味だ。風味も無い。一般的な立ち食い蕎麦のレベルから若干落ちるかな。イメージ的にはどん兵衛とかカップ麺系の麺に近い感じだ。
紅しょうが天は持ち上げるとクタクタで崩壊する感じ。味もカップ麺のかき揚げといい勝負といった感じだ。
スープについてだが、私は生粋の蕎麦食いであるからして、器をもってそのままずずっと行きたいところではあったのだが、器が熱いし持ちにくいしでそのスタイルは諦めてレンゲを使う上品スタイルを採用した。
この辺はやはり日本とは違う文化的なものを感じた。欧米には細かな日本文化は分からないのだろうと妙に納得である。
スープの味は合わせダシっぽい感じで丸みというか、まろみというか当たり障り無い感じのスープ。不味くは無いと思う。無視できるレベルであるがちょっと酸味みたいなものを感じたがそれは添加物的なものなのかな?
レンゲが小さくて最後は器底に沈む残念な結果となった。
色々悪口っぽく書いたけど、立ち食い蕎麦としてはこれはこれでアリ、だと思う。こういう感じで色々な所で気軽に立ち食い蕎麦が食べれたら便利だろうし、24時間365日営業してくれるのであればこれは脅威である。
値段だけが気になったが普及が進めば量産コストダウンで安くなるだろう。250円くらいになればいいな。。実証実験なので致し方ないと思う。頑張って欲しい。
ちなみに、ちょうど補充している現場に遭遇した。料理素人でもこんな感じで補充すればあとは自動で作ってくれるのは確かに人件費削減には良いかもしれない。
JR上野駅セルフ駅そば:結論
新しい?試みとして始まったセルフ駅そばの実証実験であるが中々面白い体験ができて大満足。ただ実際に体験してみて以下の点がイマイチポイントだった。
- 待ち時間が長い
- 値段が高い
- 値段の割に味がいまいち
待ち時間については、通常の立ち食い蕎麦だと注文から出てくるまで30秒〜と非常に早いスピードで提供される店もあるし、注文は複数件受付することも可能なので待ち時間によるストレスが無いのがメリトだ。
それなのに、今回は注文ー調理ワンセットでしかも1組しか操作出来ないので提供スピードも遅ければ、次に待つ人はイライラものである。対応案としてはアプリで入店前に注文するスタイルにできればもっとスムーズなのではなかろうか?この辺は改善を希望する。
値段についても、やはり高い。上野駅の有人店舗のメニューを見てみると、例えば、きつねうどん500円であるのに対し、セルフ駅そばのきつねたぬき蕎麦550円。ちょっと高い、自販機で味も提供スピードも落ちるのであればせめて安くして欲しいというのが人情だ。
ただ、試みとしては非常に面白かったし、上野駅でやったからその良さが分かりづらかったとも言えるので、飲食店が無い駅に設置して検証してみたらまた違った見え方をするのかもしれない。
実証実験なのであえて悪いポイントを挙げ連ねたが、わたくし自称そば通としては応援したい気持ちである。
以上、最後まで読んでいただき感謝
PS.電車乗る予定も無いのに上野駅ホームに入ってしまったので、一駅先の御徒町へ行って朝からやってる名銭湯「燕湯」に行ってきた。
燕湯は早朝からやっているのでおすすめだ。